法人設立手続の流れ[事前準備の概要]

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 会社(法人)設立についてはWebなどで調べるといろいろと検索できますが、具体的な手続きは複雑で、それらのほとんどの情報は難しく記載されています。
 法人設立をやってみようという、その一歩を踏み出すことに躊躇することもよく分かります。
 設立にチャレンジしようという方は勉強されていると思いますが、これからという方はこれまで携わっていなければ感覚的にも全く分からない方もいらっしゃると思います。
 また、社会保険労務士や行政書士などのPRサイトもあり自ら理解することよりも全て「おまかせ」(対費用)という道筋を示していますのでWeb検索だけでは概要は理解できても実はよく分かんないよね。ということになりがちです。
 ここでも全てを網羅することはできませんが、「お問い合わせ」などがありましたら遠慮なくお願いします。私の経験と知識の範囲でお知らせすることはできると思います。難しいことは調べてみます。もちろん「お問い合わせ」に関する費用はございませんのでよろしくお願いします。

設立のための事前準備

会社の形態を決める(重要)

 現在は、「株式会社」もしくは「合同会社」を選ぶケースがほとんどのようです。「合同会社」は外資系会社のイメージがあり、国内ではAmazonやGoogleなどは合同会社です。
 ざっくりとは、個人でコストをできるだけ抑えたい場合は「合同会社」、社会的信用力や上場やベンチャーキャピタルからの資金調達を考える場合は「株式会社」を選ぶことが多いです。現状では圧倒的に「株式会社」を選択されます。

【そのほか(抜粋)】 

  1. 社名
  2. 事業内容
  3. 会社の住所
  4. 会社設立日(2~3週間以上先を設定する)
  5. 決算月(例:3月・9月・12月など)

 補足ですが、決算月はいつでも構いません。区切りとしては国内の会社(法人)の一般的パターンを確認しながら決められた方がよいと思います。
 会社法では、「会社の事業年度は最長1年」と定められているのでルールに基づいて決算月を決めなければなりません。

定款作成

 「定款」とは会社のルールブックのようなものです。
 会社の事業目的や会社の住所、資本金などを記載したものです。会社法に基づいた記載内容になります。初めから一人で作成することは難しいと思いますので「定款のひな型」などを参考に作成します。

 「定款」は作成すれば終わりではなく、公証役場で作成した定款を認めてもらう必要があります。また、公証役場で認証を受けた定款は自分で自由に変更できません。(株主総会等での承認変更など)

 さらに、「定款」を紙ベースまたは電子式で作成するかを選択しなければなりません。社内の管理上では電子式が便利ですし、作成時の収入印紙代が4万円ほど少なくなります。
 しかし、電子式で作成するとなると現法律では手続きが煩雑になるので行政書士や専門家に公証役場への手続きを代行する場合が多くなっています。よって、現在はまだ「紙ベース」の手続きの方がやりやすいことになります。

資本金の払込み

 会社の資本金として「銀行口座」に現金を振り込まなければなりません。
 このときに振り込む銀行口座は「会社の銀行口座」がまだできていない場合は会社を設立する「代表者個人の銀行口座」でも構いません。

 この現金が「資本金」になります。現法律上では1円であっても会社の設立は可能です。ただし、「資本金」は信用度にかかわるので1円ではどうかと思います。少なくとも、100万円から500万円の範囲でされる方が多いようです。資本金は会社規模と信用度に比例します。可能な範囲で決めることが必要です。
 また、最低でも3ヶ月くらいの事業運営に必要な資金を目安に設定されることをおすすめします。折角、会社を設立して事業を始めたばかりで資金ショートして資金がなくなっても困ります。最初から資金が不足しても最初から銀行から借入するのは難しいので、まずは社長の個人のお金を会社に貸し付けて運転資金にするのであれば、最初から資本金として会社にそれなりの資金を入れておく方が良いと思います。

登記申請

  法務局に法人申請登記して会社として認められます。

会社設立にかかる費用・ほか

 株式会社と合同会社で設立にかかる費用は違いがあります。
 その差は下記の通りです。

 費用を抑えるとすれば「電子定款」だと印紙税はかかりませんが、自分でやろうとすれば結構手間のようです。一度、その手間を調べてみたいと考えています。

定款について

 定款とは会社における「憲法」(例として)のようなものです。
 会社設立時に株式会社でも合同会社でも必ず最初に作成しなければならない書類です。
 会社の業態によって異なりますが、まずは類似業態の「ひな型」から会社に体制に則したものを作成することから始めます。
 また、定款に必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」がありますので参考にしましょう。

  1. 事業目的
  2. 商号(社名)
  3. 本社所在地
  4. 設立時に出資する財産の価額またはその最低額
  5. 発起人(出資者)の氏名または名称とその住所
  6. 発行可能株式総数→※株式会社のみ

 このうち、一つでも記載がないと定款が無効になりますので注意しましょう。

発行株式数

 株式会社のとき、発行株式数を何株にしたら良いかと考えますが、「上場を考えている」「VC(ベンチャーキャピタル)からの出資を受けたい」とかに当てはまらないときはそんなに深く考えなくても良いと思います。(非上場企業=オーナーズ会社のとき)
 上場を目指す場合は、100万~1億株程度を発行株式数にするとよいという場合もあります。 そうでないときは「最終的にいくらまで資本金を増資したいか」から逆算して決めるイメージです。
 1株の価額も決めますので「1株1万円」にして、最初の資本金が100万円のときは最初の発行株数が100株になります。この会社が最大何株まで株式を発行できるかというのが「発行可能株式総数」となります。
 例えば、1株1円としたときは100万円だと100万株ということになります。「VCからの出資を受けたい」という場合は最初の株価は低く抑えた方が受けやすくなります。

事業目的

 事業目的は会社を立ち上げる際に自身のビジネスモデルを整理して発起人が考えることが肝要です。
 この部分は「ひな型」通りには記載できないので、現状の会社事業を明文化した上で将来的に目指す事業をそれに付け加えることが大切です。一度記載したら変更できないこともないので考えられる範囲で箇条書きすることをおすすめします。
 融資を受ける場合は金融機関の方は必ず「事業目的」を確認するので会社の目的が明確になっていることが融資の条件です。
 目的は多くても15項目程度内にする方がよいと思います。

 絶対的記載事項のほかに必須ではないが記載した場合のみ効力が認められる「相対的事項」と記載しなくても効力は認められるので記載しておくと明確になる「任意的記載事項」があります。

 これらは「定款のひな型」がありますのでそれに沿って作成します。記載パターンは決まっていますので設立者ご自身がどのようにするかを検討して作成されるべきです。
 そして、最終チェックは都道府県で定期的に無料の「法律相談」税務相談や「社会保険労務士相談」をしていますので費用をかけずに最終チェックしてもらうことができます。都道府県による相談窓口はとても丁寧にきちっと相談に応対していただけます。

定款内容の変更

 「定款」は株式会社の場合は設立時に公証役場で認証申請しなければなりません。5万円の申請料がかかります。もし、会社設立登記前に「定款内容の変更」をしたいことがあれば再度手数料を払って認証申請をしなければなりません。
 しかし、登記申請後に定款を変更するためには「株主総会」を開いて議事録を作成したりして「法務局」に登記をしなければなりません。その際にも「登録免許税」(3万円)が必要になります。
 また、税務署に届出をするとかいろいろな手続きが必要になってきます。会社設立の相談に慣れている司法書士や税理士など専門家に「定款」をチェックしてもらうことをおすすめします。

紙定款または電子定款の選択

 「電子定款」が楽そうに見えますが、定款を作成した後の認証の手続き方法が「紙定款」と「電子定款」では全く異なります。
 株式会社を設立するときは、公証役場で公証人による認証を受ける必要があります。この手続きは「合同会社」では必要はありません。
 株式会社は株主と経営者が分かれているので両者間でトラブルが発生した場合「定款」を証拠書類として確認することがあります。よって、公証人という決められた第三者に認めてもらうことを義務付けられています。
 「定款」の認証は本社の所在地と同じ都道府県内にある「公証役場」で申請認証を受けます。日本公証人連合会のサイトでその場所を検索してください。
 「電子定款」の場合も「公証役場」に行く必要があり、公証人が直接確認するので出向く必要があります。
 印紙税4万円の費用が抑えられますが、電子定款はPDFにする必要があって「電子署名」が可能なPDF作成ソフトを用意する必要があったり、そのほか準備するものが色々とあるので専門家に代行を依頼する方が多いです。
 一人で設立登記される方は「紙定款」にする方が多いようです。
 「電子定款」での専門家による代行費用は印紙税の4万円を超えることはほぼないので代行を依頼するのがおすすめです。

合同会社と株式会社について

 会社設立をする選択肢として「合同会社」と「株式会社」の違いについては、個人でとにかく費用を抑えたいときは「合同会社」。
 社会的信用を重視することや将来は上場や資金調達をするならば「株式会社」です。株式会社を選択される場合がまだまだ多いようです。もし、迷っていてそれほど費用のことを考えていなければ株式会社でしょうか。

費用比較

設立コスト

 設立費用を比較すると合同会社は14万円安くできます。さらに登録免許税は「資本金金額×0.7%」ですが、合同会社も株式会社も最低額は決められています。その最低金額が上表に記載されている金額となりますので「登録免許税」はそれぞれ最低限の金額です。
 株式会社の資本金が2,200万円以上にならなければ基本的には15万円でおさまります。

事務手続きの比較

事務手続き比較表

 事務手続きは圧倒的に「合同会社」が楽です。
 株式会社で必須義務とされているものが省略できます。株式会社でも合同会社でも期末に決算を組んで「法人税等」を申告、納税する義務があります。合同会社は「官報」や「Web公開」などの決算公告をで決算内容を開示する義務はありません。

資金調達比較

資金調達比較標

 大きな違いは「株式」を発行して資金を調達できるか。ベンチャーキャピタルなどは上場やM&Aなど株式を売却したときの売却益を目的に事業や投資をしているのでそもそも株式発行ができない合同会社に出資はできません。

社会的信用比較

 社会的信用度は株式会社は「高!!」。合同会社は知名度から「低!!」とみなされがち。です。
 株式会社でなければ取引ができない大企業とか、従業員を採用する際にも合同会社は応募者が集まりにくいということもあります。
 合同会社は株式会社よりも法人化のハードルが低いこともあり社会的信用は株式会社の方が一般的に高いと判断されています。

 個人事業主が法人化する場合は合同会社でも全く問題はありません。税務関係から法人成りされることでも問題はありません。
 「合同会社」か「株式会社」かは事業目的やバランスを考えて決めることが必要です。

会社設立登記について

登記とは何か

 法人登記とは法務局の商業登記簿に会社の情報を記載することです。会社設立のために「定款作成」「資本金の払込み」後の最後に行う手続きです。
 登記をすると会社の「資本金」「本社の所在地」などの基本情報が登記簿謄本に載り、誰でも調べることができます。登記簿謄本は遠方からでも取り寄せることが可能で企業が新しく取引先となる会社を調べる際などに活用されます。

 会社のHPなどがあれば取引をしようとする会社が閲覧したり、本社住所に郵便物が届いたり、電話番号が記載してあれば相手から電話がかかってくることもあります。
 会社登記とは自分の会社を詳しく知ってもらう開示でもあります。

登記に準備する書類

  1. 登記申請書
  2. 登録免許税分の収入印紙を貼り付けたA4用紙
  3. 定款
  4. 発起人の決定書
  5. 取締役の就任承諾書
  6. 代表取締役の就任承諾書
  7. 監査役の就任承諾書
  8. 取締役の印鑑証明書
  9. 資本金の払込を証明する書類
  10. 印鑑届出書
  11. 登記すべきことを保存したCD-RかFD

 会社設立日は登記申請した日ということになります。登記完了日が設立日と勘違いすることがあります。
 印鑑届出書の会社印は大きさが決まっていて一片の長さが1cm以上3cm未満となります。会社の実印と代表者の実印を混同しないようにしなければなりません。別にすることをお勧めします。

商業・法人登記[法務局]

 法務局HPにある「法人設立ワンストップサービス」を紹介します。
 株式会社や合同会社を設立する場合の登記申請に必要な書類などの「ひな型」や会社法関連を調べるのに活用していただければ幸いです。

商業・法人登記申請手続:法務局

 記:桃太郎  

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